D10値

D10値 でぃーじゅうち

 微生物に対する放射線の殺菌効果を表す指標である。D10値は、生残している微生物を元の1/10に減少させるのに必要な線量である。微生物数の対数と線量との関係をプロットすると一般に直線関係が得られ、この直線の傾きからD10値が求められる。放射線感受性の高い微生物のD10値は小さく、放射線抵抗性の高い微生物のD10値は大きくなる。放射線に対する感受性は微生物の種類によって異なり、細菌でも放射線に対する感受性の高いものも低いものもある。大腸菌やブドウ状球菌のD10値は、0.1〜0.2kGyであるが、ボツリヌス菌では3kGy以上の場合も珍しくない。微生物のD10値は微生物の種類だけでなく、照射する条件によっても異なる。細胞分裂が活発に行われている若い微生物細胞は放射線の影響を受けやすく、成熟した微生物細胞は放射線に対する抵抗性が高い。また、酸素共存下では殺菌されやすく、嫌気状態、乾燥状態または凍結下で放射線を照射した場合には、殺菌されにくくなる。微生物の放射線感受性は共存物質の影響も受ける。


<登録年月> 2005年11月

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