中性子ラジオグラフィは、中性子線が物質中を透過した際、物質による吸収(あるいは透過)の大きさの差を用いて物質の透過像を取得する技術である。透過像を得るものにはX線ラジオグラフィーが著名であるが、物質によっては中性子線の透過性がX線と大きく異なるため、両者は相補的な技術として用いられる。例えば中性子線は、Al,Pb,Bi等に対しては、X線よりはるかに強い透過力を示すので、このような物質内部の欠陥や不純物の非破壊検出・検査を容易にする。一方、水素及び水、合成樹脂などの水素化合物に対しては、X線より強い不透過性を示すことから生体などの透過像撮影には必ずしも適さない。中性子ラジオグラフィは1960年代に研究用原子炉から高中性子束が得られるようになってから、非破壊試験の一部門として急速に発展した。十分な強度が得られる中性子線源の設備としては通常研究用原子炉が最も適している。