電子ビームによる排煙処理法

電子ビームによる排煙処理法 でんしびーむによるはいえんしょりほう

 火力発電所等からの排煙処理では、電子ビーム照射とアンモニア添加により脱硫脱硝による浄化とともに粒子状の硫安硝安に変えて肥料の副産物が得られる技術の実用化が進んでいる。石炭・重油の燃焼排煙に電子ビームを照射すると、排煙成分の大部分を占める窒素、酸素、水等からOHやO等の非常に反応性が高い活性種(ラジカル)と呼ばれる分子や原子が生成する。これらの活性種は、排煙中に含まれる硫黄酸化物や窒素酸化物と反応し、これらが更に酸素と結合することによって最終的に硫酸と硝酸に変化させる。つまり、この方法では、通常、大気中で太陽光の作用で起こる化学反応を、エネルギー密度が高い電子ビームを用いることによって反応容器内で極めて短時間に起こさせる。これと共に、電子ビームを照射する際に反応容器内にアンモニアを吹き込み、生成した硫酸と硝酸を速やかに粒子状の硫安と硝安に変えて回収する。電子ビームによる排煙処理法では、このように排煙を浄化すると同時に有用な肥料が得られる利点を持っている。


<登録年月> 2005年08月

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