米国公衆衛生院国立がん研究所(NIH/NCI)では、1985年NIH放射線疫学表(NAS/NRC,1984)を作成し、各がんの原因の確率(Probability of Causation)を示した。これは、原因確率PC=(放射線誘発がんリスク)/(自然がんリスク+放射線誘発がんリスク)によって、被ばく補償を行うためのリスク評価法である。この疫学表は2003年に改訂版が示された。リスク評価法は、ポアソン回帰分析(AMFIT)が使用され、性別、被ばく時年齢、到達年齢、被ばく経過年数が考慮されている。しかし、この計算値は確率ではなく、また、集団における割り当てたがん死亡の成分であることから、PCから“割当成分”AS(Assigned Share)に変更されている。それゆえ、AS=ERR/(1+ERR)(ERR:過剰相対リスク)であり、これで被ばく補償が行われる。米国では、被ばく退役軍人及びDOE職員の職業被ばくの補償に使われている。日本での従事者放射線被ばく補償に際しても参考にされた。