カスケード損傷

カスケード損傷 かすけーどそんしょう

 材料が照射損傷を受ける時、入射する放射線のエネルギーが高いと単純なフレンケル対(原子空孔と格子間原子のペア)が生成されるだけではない。例えば中性子照射の場合、中性子のエネルギーが高いと、弾性衝突によって結晶格子点にある原子が次々にはじき飛ばされる。最初にはじき出された原子を1次ノックオン原子という。1次ノックオン原子のエネルギーが十分に高いと、1次ノックオン原子が次々に原子をはじき出して、2次ノックオン原子を生成していく。このような一連の損傷過程をカスケード損傷という。1次ノックオン原子のエネルギーがさらに高いと、2次ノックオン原子による損傷も起こり、サブカスケード損傷と呼ばれる損傷の分岐が生じる場合もある。ノックオン原子がエネルギーを失って最終的に停止する直前には弾性衝突の平均自由行程が格子間距離程度まで減少し、数ナノメートル程度の格子欠陥の濃度の高い領域を残す。


<登録年月> 2005年08月

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