面欠陥

面欠陥 めんけっかん

 格子欠陥の一つで、形状が面状のものをいう。多結晶体の結晶粒界や面心立方晶系の結晶に見られる積層欠陥は代表的な面欠陥である。多結晶体では、隣接した結晶粒同士の境界層で互いの結晶粒の結晶格子の方向が異なるため、原子配列の乱れが生ずる。この面状に広がる原子配列の不連続的な乱れが結晶粒界である。結晶粒界部の乱れは一般に数原子距離であるが、エネルギー状態が高いために、粒界腐食やクリープ変形の原因となることがある。照射損傷によって生成した熱平衡濃度以上の点欠陥が粒界に移動して消滅したり、新たな形状の欠陥を形成したりする場合もある。また、照射損傷や塑性加工によって生じた点欠陥が集合して板状の積層欠陥を形成する場合もある。原子空孔が板状に集合するとその部分だけ原子面が欠けた面欠陥になり、格子間原子が板状に集合するとその部分だけ1原子面余分な面欠陥になる。このような面欠陥の生成過程は、照射損傷の機構の解明や物性への影響の評価に重要な役割を果す。


<登録年月> 2005年08月

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