線欠陥

線欠陥 せんけっかん

 格子欠陥の一つで、代表的な例は転位である。転位は格子配列中に形成された線状の乱れである。結晶が理論的せん断応力よりもはるかに小さな応力で塑性変形するのは、転位のすべりが理論的応力の数千分の1程度の小さな応力で起こるからである。結晶の変形量が大きくなるとより多くの転位がすべるが、転位同士の相互作用によって次第に滑りにくくなる。これが加工硬化が起こる原因である。転位を形状から分類すると、代表的には、刃状転位とラセン転位およびこれらの転位の混合形がある。刃状転位はナイフの刃で結晶に切り込みを入れた時の刃先の線が転位となる。ラセン転位は転位線のまわりを一周すると、次の原子面になる構造をしている。すなわち、刃状転位では結晶のすべり方向と転位線の方向が垂直であり、ラセン転位では、平行になっている。これらの転位の他、同一原子面上に点欠陥が集合して形成される転位もある。


<登録年月> 2005年08月

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