核変換損傷

核変換損傷 かくへんかんそんしょう

 照射損傷(放射線損傷)は、はじき出し損傷と核変換損傷に大別される。核変換損傷とは物質を構成している原子とエネルギーの大きな中性子が衝突した場合、中性子と構成原子の非弾性散乱、核反応が起こり、それによって水素、ヘリウムなどガス原子や異種原子が生ずることによる損傷である。すなわち、原子核と(n,γ)、(n,α)、(n,p)などの核反応が起こることによる損傷である。(n,γ)反応では、γ線によって格子欠陥がつくられる効果は金属材料の場合それほど大きくはない。しかし、この反応は原子核を放射化する主な原因となる。(n,α)、(n,p)反応は、それぞれヘリウム原子、水素原子になり、さらにそれらは集合して物質中に残り、物質の機械的性質に影響を及ぼす。これらの反応断面積は中性子エネルギーに強く依存する。例えば、ヘリウムが生成する反応断面積は、中性子エネルギーが〜5MeVを超えると急激に大きくなる。他の核反応、例えば(n,2n)などの反応断面積も同様な傾向を持つ。


<登録年月> 2005年07月

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