はじき出し損傷

はじき出し損傷 はじきだしそんしょう

 材料が中性子やγ線などエネルギーを持った放射線の照射を受けた時に材料中に生じる損傷の一つである。入射粒子との衝突によって結晶中の原子が正規の格子点からはじき出される現象を原子のはじき出し(knock−on)といい、はじき出された原子をノックオン原子という。ノックオン原子が正規の格子位置に戻らない場合には、格子間原子となり、空の格子点は原子空孔になる。このような格子間原子と原子空孔の対をフレンケル対といい、はじき出し損傷による格子欠陥の基本単位である。はじき出しによって形成される格子欠陥は単純なフレンケル対だけではない。例えば入射中性子のエネルギーが大きい場合、中性子が最初にはじき出した原子(一次ノックオン原子)が、さらに次々と原子をはじき出していき、多数の格子欠陥が形成される。また、これらの格子欠陥は温度が十分高ければ、材料内を移動して、転位ループ、ボイド等の2次欠陥を形成する。


<登録年月> 2005年07月

<用語辞書ダウンロード>PDFダウンロード



JAEA JAEAトップページへ ATOMICA ATOMICAトップページへ