ガドリニウムは原子番号64の元素で、希土類に属する。ガドリニウムは中性子吸収断面積が非常に大きいので、原子炉の制御材料に用いられる。また、原子炉運転サイクル初期の余剰反応度を抑えるため、熱中性子吸収断面積の大きいガドリニウムの酸化物を少量添加したペレットを用いたガドリニア(Gd2O3)入り燃料棒が燃料集合体あたり数本用いられている。このガドリニア燃料中のガドリニウムは中性子吸収能力により、原子炉運転初期では反応度を低下させているが、運転時間の経過と共に中性子吸収能力が低下するため、核燃料の燃焼に伴う反応度の低下を補い、臨界状態の継続に寄与することができる。また、中性子ラジオグラフィ検査では、検査対象機器の内部にガドリニウム混合液体を塗布し、撮影を行うと、中性子残留物のある部分にはその部分にガドリニウムが付着して残るので、検出可能となる。