ラジオマイクロサージャリ

ラジオマイクロサージャリ らじおまいくろさーじゃり

 重イオンビームの特徴(物質中を直進する、物質中の一定深さで大きなエネルギーを与える、生物作用が大きい)を利用して、日本原子力研究所は、バイオ技術への活用と生物に対するLET効果を調べるために、マイクロサージャリ技術の開発を行い、炭素以上の重イオンのマイクロビーム化を可能とするラジオマイクロサージャリ用照射システムを完成した。このシステムでは、40〜120μm径のマイクロビームを大気中に取り出して、顕微鏡観察下の生物試料に微細照射できる。従来の外科的手法と異なり、体内の特定の細胞や組織・器官に局部的に照射でき、様々な動植物における生物機能の解析に適している。従来、このような目的には紫外線レーザーが使われていたが、紫外線の場合には細胞膜やタンパク質の損傷が避けられないのに対し、ラジオマイクロサージャリでは細胞構造に損傷を与えずに遺伝子だけを不活性化できる。植物根の重力屈性の解析、蚕受精卵の発生過程の解析などの研究成果が得られている。現在では、システムの高度化により5μm径まで絞ったビームで、一度に数百個の細胞を連続的に±1μmの精度で自動照準してシングルイオンで照射できる。


<登録年月> 2005年06月

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