サブミクロン径のイオンビームの照射によって発生した粒子誘起X線(PIXE、Particle Induced X-Ray Emission)を測定し、組織細胞等の構成元素の分析を行う技術をいう。PIXEは荷電粒子(α、β、陽子、電子など)によって原子内の軌道電子がたたき出される際に発生する特性X線を測定して元素分析を行う技術であり、様々な分野で幅広く用いられてきた。しかし、真空中で試料に照射して元素分析を行う通常のPIXE分析技術では生きたままの状態の細胞を分析できないので、生物学分野での適用を目指して、イオンビームを1μmまたはそれ以下の径に細く絞って大気中に取り出し、高精度で照射できるシステムが開発された。このシステムは、細胞内に取り込まれた薬剤の細胞内分布を実測したり、アポトーシス(細胞の自爆死)が起こる過程をFeやCa元素の動態から解析することもできる。医療診断技術として役立つことから、医学・生物学系の研究者によって積極的な技術開発が進められている。