岩石型プルトニウム燃料

岩石型プルトニウム燃料 がんせきがたぷるとにうむねんりょう

 自然界の岩石と同様の結晶構造である化合物(ジルコニア、スピネルなど)をベースにした酸化物プルトニウム燃料をいう。岩石型酸化物(ROX:Rock-like Oxide)燃料とも呼ばれ、余剰プルトニウムの処分を目的として研究、開発が進められた。この燃料概念は、PuO2を核的不活性元素の酸化物(アルミナ、スピネル、ジルコニア等)に溶融分散させ、239Puの大部分を現行軽水炉で燃焼・消滅させることを目的に日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)が提案した。ジルコニアは化学的安定性及び原子炉内での照射安定性に優れ、プルトニウム、プルトニウムの核分裂で生成する超ウラン元素、核分裂生成物(FP)が溶け込んでもその安定性が損なわれることがなく、燃料として優れた性質を持っている。さらに、その使用済燃料は化学的に安定な化合物であり、酸やアルカリに難溶なため再処理が難しく、核拡散防止にも効果を発揮する。また、高レベル廃棄物として直接地層処分することも可能である。岩石型燃料は、当初、炉心設計や安全確保の面で課題があったが、照射試験などを経て検討を重ねた結果、安全性を確保しつつ燃料中のプルトニウムを約90%燃焼できる炉心設計に見通しが立っている。


<登録年月> 2012年12月

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