シングルイオン細胞照射

シングルイオン細胞照射 しんぐるいおんさいぼうしょうしゃ

 イオンビームをミクロンサイズにまで絞込み、1個のイオンを細胞核や細胞内器官に照射して、その生物影響を調べ、従来のランダム照射による確率論的解析の限界を越える試みである。古くから試みはあったが、実際には周辺技術が進歩した90年代に入って開発が加速された。米国コロンビア大学は、ラドンからのα線のリスク評価に係わる基礎データを取る目的で陽子、ヘリウムなどの軽イオンマイクロビーム化、英国グレイ癌研究所は、ガン治療の基礎データを取る目的で、陽子とヘリウムのマイクロビーム化、日本原子力研究所は、バイオ技術のためのマイクロサージャリ技術の開発と生物に対するLET効果を調べるために、炭素以上の重イオンのマイクロビーム化を各々、目指した。上記の日米英の3拠点の他、海外ではドイツ、フランス、イタリア、中国などで、国内では放射線医学総合研究所、若狭湾エネルギー研究センターなどで開発が進んでいる。シングルイオン照射の研究から、細胞間の放射線影響伝達(バイスタンダー効果)が発見された。


<登録年月> 2005年05月

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