原子力発電所では、タービンを回した蒸気は復水器へ送られ、海水により冷却され水に戻り、再び原子炉に送られる。この復水器で使われる冷却用の海水は、海へ放出されるときに取水した時の水温に比べて数℃(約7℃)の温度上昇があるので、温排水と呼ばれている。復水器の冷却水により原子力発電による発生熱量の約三分の二が海中に放出される。冷却用海水の放流量は、電気出力10MWあたり約0.8t/sが目安とされている。温排水は、放水口からすこし離れれば周辺の海水と混合したりして温度差は急激に小さくなり、流れの速度も低下するため、周辺海域の環境への影響について特に留意すべき点は認められていない。温排水の有効利用対策として、魚介類の生育に利用する増養殖の実験研究が行われておりその成果をもとに事業化が進められている。