誤照射

誤照射 ごしょうしゃ

 医学放射線物理連絡協議会((社)日本医学放射線学会、日本放射線腫瘍学会、日本医学物理学会、(社)日本放射線技術学会等で組織)は、誤って医師の処方と異なる線量を照射した場合を誤照射と呼び、誤照射のうち処方線量よりも5%以上多く照射した場合を過剰照射と定義している。事故の程度は、最も重篤な障害が予想されるクラスIAから障害の危険性が少ないとされるクラスIIまで5段階に分類される。事故の直接的な原因は、多くの場合、人的エラーであり、例えば治療機器への数値入力ミスや担当者間のコミュニケーション不足などが指摘されている。また事故の発端が、治療機器の更新あるいは治療担当者の異動に起因することが多いという傾向がある。こうした事故原因の背景には、急速に複雑化かつ高度化する放射線治療においてマンパワーの確保やトレーニングの機会が不十分であったり、あるいは品質保証(QA)が現場の個人的な努力に委ねられているという、構造的な問題があると考えられる。最近実施された日本放射線腫瘍学会の実態調査によれば、がんの放射線治療を行う医療機関のうち、専任の放射線科医がいるのは3割に過ぎず、また診療放射線技師についても半数に満たない。


<登録年月> 2004年12月

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