メチオニン

メチオニン めちおにん

 メチオニンとは、蛋白質を合成するアミノ酸のひとつであり、体内では合成できない必須アミノ酸である。このようなものの働きに対しては、主としてRIを用いて動植物体内の栄養素の移動・吸収・代謝調査、肥料・農薬等の流失・分解挙動などを調査している。
 ポジトロン放出核種C−11を用いた例では、(C−11)O2ガスをオオムギの葉に供給し、C−11光合成産物の短時間での根への移行、特に幼根の先端への蓄積などを示す鮮明な画像が得られている。また、(C−11)−メチオニンを用いて、鉄欠乏オオムギにおけるアミノ酸転流に関する計測が行われ、その結果オオムギの切断した葉に与えたメチオニンが他の葉に移行していることがわかっている。鉄欠乏のためにクロロシス(白化)を呈した葉へとメチオニンは転流するが、根には移行しないことがわかった。同じく鉄欠乏のオオムギの根からメチオニンを与えた場合は根で消費されて葉まで移行しなかった。メチオニンは、オオムギが土壌中の不溶性鉄の獲得に使うムギネ酸の合成に必須の物質だが、植物体のどこで作られるかは長年の謎であった。これらの結果から、根でそれが作られることがわかった。


<登録年月> 2004年12月

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