着目量の時間変化率と国内総生産(GDP)の時間変化率との比。ほとんどの場合、エネルギー消費量を着目量としている。つまり、国の経済活動規模を示す総合的指標としてのGDPの伸び率に対して、エネルギー消費の伸び率がどのような値となるかが対GDP弾性値として計算される。産業の中で素材系のウェートが大きい工業化の初期段階では、対GDP弾性値は大きい。他方、エネルギー価格の上昇や政策誘導による省エネルギーの進展、産業構造の転換(素材系のエネルギー多消費型産業から加工・組み立て型産業、サービス業等へのシフト)により対GDP弾性値は低下する。ただし、電力やガソリンなどの消費量の対GDP弾性値は、エネルギー消費全体とは異なった変化をする。電化は経済成長とともに進展するため、電力消費量は成熟した経済においても対GDP弾性値があまり下がらない。ガソリンも同様で、経済成長の初期段階の消費量は小さいが、国民の平均所得水準が上昇しモータリゼーションが進展する段階で消費量が急増する。