火力発電所等の化石燃料燃焼装置の排煙に含まれる硫黄酸化物を除去し、大気への排出を低減する装置。製造過程で脱硫を行うLNG以外の化石燃料には多かれ少なかれ硫黄が不純物として含まれている。石油の場合には各種製品の製造過程で脱硫が行われるので、ガソリンや家庭用ストーブで用いる灯油燃料などでは、燃焼時に硫黄酸化物はほとんど発生しない。しかし、高濃度の硫黄含有量が許容された重油を火力発電燃料等に用いる場合には、規制が厳しい場所では排煙脱硫が必要となる。また、石炭の場合には燃料脱硫ができないため、日本の石炭火力発電所では排煙脱硫装置を装備するのが普通である。排煙脱硫装置には湿式と乾式があるが、日本では湿式が大部分を占める。例えば、発電用大型ボイラに多い湿式の石灰スラリー吸収法では、水と混ぜた石灰石スラリーと排ガス中のSOxを反応させ、硫黄分を石こうとして回収する方式を採用している。