X線のうち波長の短い(0.001〜0.1nm)ものを硬X線という。エネルギーでは10keV以上のものである。非破壊試験、医学診断、物質評価などの応用可能であるが、波長可変の単色X線源は存在しないので、大型放射光装置+分光器を組み合わせる。シンクロトロン放射光のスペクトルの波長領域は、電子のエネルギーが十分高ければ、赤外から硬X線に至るまでの幅広い連続分布を示し、真空紫外から硬X線の間での高品質な人工光源である。SPring−8のような大型放射光施設で得られる光の特徴として次の3点がある。(1)極めてつよいX線であり、一般に利用されているX線管方式のものと比較して百万倍以上も強い強度を持つ(高輝度)(2)赤外線〜硬X線領域までの連続スペクトルであり、実験に必要な波長を任意に選択できる(連続スペクトル)。太陽物理学では硬X線はフレア時の超高温ガスから放射される。