遠心分離法

遠心分離法 えんしんぶんりほう

 一般には遠心分離機を用いて混合物を分離する方法をいうが、原子力分野では軽水炉等の燃料となる濃縮ウランを製造する方法の一つを指す。ウラン濃縮装置では多数の遠心分離機をカスケードに組み、天然ウランを原料として所定のウラン235濃度のウランを得る。天然ウランは低沸点の六フッ化ウランに転換して濃縮されるのでガス遠心分離法とも呼ばれる。高速で回転する遠心分離機に六フッ化ウランが送り込まれると、ウラン235とウラン238の質量差によって、回転胴の円周側ではウラン238の濃度が高くなり、軸側では軽いウラン235の濃度が高くなる。一つの遠心分離機で発生する濃度差は小さいが、この操作を繰り返すことによってウラン235の濃度を原子炉の燃料として利用可能なレベルまで高めることができる。原子力開発の初期の時代に建設されたガス拡散法に比べると消費電力が小さく、また、需要に応じて施設規模を拡大しやすいことから、現在では商業ウラン濃縮施設の大部分で遠心分離法が採用されている。


<登録年月> 2010年08月

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