ウイルソン霧箱

ウイルソン霧箱 ういるそんきりばこ

 気体中に蒸気の過飽和状態をつくり、蒸気を凝結させる作用を利用して放射線の飛跡を観察する道具。過飽和状態では、核がなければ凝結しないが、ちりや粒子などと同様、正負のイオンも、飽和蒸気圧を下げるため凝結の核になる。このため、霧箱内を荷電粒子が通過する際、その経路に沿って生じたイオンが凝結核となり飛跡が現れる。霧箱には、蒸気を含んだ気体を飽和に十分な量の液体と共存させ断熱膨張させて過飽和にする膨張型と、不飽和であった蒸気を暖かい区域から冷たい区域に拡散させて過飽和にする拡散型がある。膨張型では空気と水、アルゴンとアルコール、また拡散型ではメチルアルコールとエチルアルコールがよく使用される。


<登録年月> 1998年01月

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