カーケンドール効果 カーケンドル効果

カーケンドル効果 かーけんどるこうか

 Kirkendall effect. 70%Cu−30%Znの黄銅を銅(Cu)で囲み、境界にMo線を置いて加熱すると、Cuは黄銅の方へZnはCuの方へ拡散するが、その際Mo線のマーカー間の距離dは小さくなる(図参照)。この事実をE.Kirkendallが初めて見出した。この現象は、亜鉛原子の拡散が銅原子の拡散より速かったことを示しており、拡散機構が原子の直接交換でなく、原子空孔による空孔拡散であることを証明した。純銅にZnが拡散することによって、黄銅中にZnの空孔が生じ、その空孔へCu原子が拡散侵入するが、ZnとCu原子の拡散速度の違いにより、大部分の空孔がそのまま残る。残された空孔は、許容できる濃度を超えると、結晶中に存在する転位や粒界などに吸収され、消滅する。逆カーケンドール効果とは、空孔の粒界への移動によって、粒界近傍の合金中の任意の原子が逆に空孔サイトに移動し、粒界近傍に任意原子の欠乏または他の原子の富化が生じることをいう。


<登録年月> 2003年03月

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