安定ヨウ素剤 ヨウ素剤

安定ヨウ素剤 あんていようそざい

 stable iodine pill. 原子力施設等の事故に備えて、服用のために調合した放射能をもたないヨウ素を安定ヨウ素剤という。ヨウ素は、甲状腺ホルモンの構成成分として必須の微量元素である。甲状腺にはヨウ素を取り込み蓄積するという機能があるため、放射線事故で環境中に放出された131I(放射性ヨウ素)が呼吸や飲食により体内に吸収されると、甲状腺で即座に甲状腺ホルモンに合成され濃集し、甲状腺組織内で放射能を放出し続ける。その結果放射能による甲状腺障害が起こり、晩発性の障害として甲状腺腫や甲状腺機能低下症を引き起こすとされている。これらの障害を防ぐためには、被ばくする前に安定ヨウ素剤を服用し甲状腺をヨウ素で飽和しておく。この処置により、被ばくしても131Iが甲状腺には取り込まれないので、予防的効果が期待できる。ヨウ素剤の効果は投与時期に大きく依存し、被ばく直前の投与が最も効果が大きい。


<登録年月> 2000年11月

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