分配係数は、次の2通りの意味で使用される。1)分配因子(狭義の分配係数)の場合。定温で物質Aが互いに分離して接触する液体1と2に化学形を換えず低濃度で溶解して平衡を保つ場合の、両液体中の物質Aの濃度比のことをいう。分析化学で重要な量である。2)移行活量係数の場合。溶媒抽出で、一方の溶液中のある溶質Aが他の溶媒(土壌や岩石などの固体でもよい)に分配・抽出される目安となる量であり〔抽出溶媒(または土壌)中の濃度〕/〔もとの溶液中の濃度〕と定義される。たとえばピューレックス法において、水溶液中のウラン及びプルトニウムは、TBP 溶媒との混合によって、水と溶媒の2相に分配され抽出が行われる。放射性廃棄物の地下処分における土壌・岩石の収着性の評価でも重要である。