自然界には、熱や物質の移動に関わる輸送現象が数多く存在する。物質移動とは、気体、液体、固体などの異相間において物質の濃度や成分が不均一であるとき、均一になるよう異相間の接触界面を通して物質が移動する現象である。物質の移動速度は、物質の濃度差(推進力)と異相間の接触面積に比例すると考えられ、その比例係数を物質移動係数と呼ぶ。この比例係数は異相間の抵抗(境膜)に相当し、流れの状態や拡散係数など物性定数により変化する。したがって、物質移動係数は、これらの物性定数を組み合わせた無次元の実験式から求められる。