目的物質にその同位体を加えて希釈すること。同位体比の変化を利用した分析や放射線障害の低減に用いられる。後者では、体内に摂取される放射性同位体による放射線障害を減らすために、安定同位体を摂取することによってその濃度を希釈し、体内からの排泄を促進することをいう。例えば放射性ヨウ素は体内に摂取されると24時間値として約20%が甲状腺に取り込まれ、残りは全身に分布した後速やかに尿中に排泄される。あらかじめ安定ヨウ素を服用しておくと甲状腺中の濃度が高くなり、生物学的半減期が短くなる。これによって服用しないときに比べて体内の放射性ヨウ素の濃度は低くなる。日本人の場合一日100mgのヨウ化カリウム錠剤を服用すると、摂取した放射性ヨウ素の90%以上が体外に排泄される。チェルノブイル事故の際にも効果があったといわれる。