17億年前に西アフリカに存在していたと推定される天然の原子炉。地名を付してオクロ炉とも呼ばれる。現在、天然に存在するウランの235U含有率は0.72%であるが、ガボン共和国のオクロ鉱山で採取されたウラン鉱石の235U含有率は、これよりも有意に低い値であった。また、235Uの核分裂によって生成する同位体も発見された。これらの事実は、標本を採取した場所で核分裂連鎖反応が起きていたことを示唆しており、詳細な調査の結果、17億年前のオクロ鉱山のウランの235U濃度は、現在の軽水炉燃料とほぼ同じ3%程度であったことが分かった。この鉱床に雨水が流れ込むなどして、核分裂連鎖反応が自然に起こったと推定されている。235Uと238Uはともにα壊変で減少するが、前者の半減期が約7億年と後者の45年に比べて短いため、天然ウラン中の235U濃度は現在の水準まで減少し、現在のウラン鉱山ではこのような現象は起こりえない。