中性子スペクトル

中性子スペクトル ちゅうせいしすぺくとる

 中性子のエネルギー(または速度)に対する中性子束の分布をいう。中性子スペクトルは原子炉の核特性、燃焼特性の分析に不可欠の情報である。核分裂によって発生する中性子のエネルギー分布曲線(核分裂スペクトル)は、中性子エネルギー1MeVにピークを持つが、高エネルギー側に広がった分布をしているため、中性子エネルギーの平均値は約2MeVである。軽水炉等の熱中性子炉では減速材を用いて、核分裂を起こしやすい低エネルギーの中性子の割合を高めている。他方、高速炉では燃料の増殖性能を高めるためにできるだけ中性子を減速させないようにしており、軽水炉に比べると高エネルギーの中性子の比率が大きい。しかし、燃料物質、被覆管、構造材、冷却材との非弾性散乱によってエネルギーを失うため、炉心の中性子スペクトルは核分裂スペクトルに比べるとやや低エネルギー側にシフトしている。


<登録年月> 2012年01月

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