中性子吸収断面積

中性子吸収断面積 ちゅうせいしきゅうしゅうだんめんせき

 neutron absorption cross section. 物質中の中性子がその物質を構成する原子の原子核に衝突し吸収反応を起こす確率を表す量。中性子は電荷をもたないため、物質内で容易に他の原子核に近接して各種の相互作用を起こす。単位時間・単位体積当たりの相互作用の数は、Nπδ2φで表される。ここで、Nは単位体積中の原子数、δは相互作用に必要な原子核中心と中性子との距離、φは中性子束(中性子走行距離の総和)である。σ = πδ2とおくと、この式はNσφとなり、相互作用の発生数はσに比例する。σは面積の次元をもつので反応断面積と呼ばれる。単位は通常バーン(b)が用いられ、1 bは10-24cm2である。中性子と原子核との相互作用のうち吸収反応に対する断面積が中性子吸収断面積である。なお、σは微視的断面積とも呼ばれ、これにNを掛け合わせたNσを巨視的断面積と呼ぶ。


<登録年月> 2012年01月

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