核分裂生成物の一部にはベータ崩壊に伴って中性子を放出するものがある。この中性子を核分裂による放出中性子の一部とみて、遅発中性子という。逆に核分裂直後に放出される中性子を即発中性子という。ベータ崩壊する核種を遅発中性子放出先行核といい、中性子放出もこの先行核の半減期にしたがって減少することになる。先行核は多数あるが、半減期がもっとも長いのはBr−87(55秒)である。遅発中性子の存在により、原子炉は即発中性子だけでは臨界にならないように制御することができ、反応度の投入に対処して急激な出力の変化を防ぐ時間的余裕が得られることになる。原子炉の制御にとって重要である。