標的理論

標的理論 ひょうてきりろん

 標的(ターゲット)理論は、放射線の直接作用を基礎とし、細胞内には細胞の機能にとって重要な構造体が存在するとの考え方である。放射線のエネルギーが構造体に吸収されてこれに傷ができると、細胞の死や障害が引き起こされる。この構造体を標的とよび、標的の傷をヒットとよぶ。このヒットは全くランダムに生じるため、標的に平均1個のヒットが生じる線量でも、実際には37%の細胞にヒットが起らず生存している。このような線量を平均致死線量またはD 37(37%致死線量)という。この考え方では、線量が少なくても標的にヒットが生じれば細胞は死に、逆に線量が多くてもヒットを免れて生き残る細胞が存在することになる。標的は1細胞に1つまたはそれ以上存在する場合があり、1標的に障害を与えるのに、1ヒットでよい場合と、多ヒットを必要とする場合とがある。


<登録年月> 1998年02月

<用語辞書ダウンロード>PDFダウンロード



JAEA JAEAトップページへ ATOMICA ATOMICAトップページへ