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<概要>
 福島、新潟、福井の三県知事の国への要望から一年後の2月14日、科学技術庁(現文科省)長官と通産大臣は三知事に対し、当面の核燃料サイクル施策で協力要請を行なった。具体的には情報公開を進めることを前提に、(1)プルサーマル利用は2000年までに3〜4基程度で開始し、2010年頃までには全電気事業者で実施する (2)再処理されるまでの使用済燃料は、発電所敷地外でも貯蔵できるように早急に検討に入る (3)高レベル廃棄物は処分への道筋を明らかにするため、懇談会等の場で方策を検討する (4)「もんじゅ」については、安全性の総点検を行なうと同時に懇談会等の場でその位置付けを明確にする の4点である。
 わが国の原子力開発が、自治体を含めた新たな協調体制によって歩み始めようとしたとき、3月11日動燃事業団(現日本原子力研究開発機構)東海事業所アスファルト固化施設で火災爆発事故が発生した。動燃事業団の安全確保のための意識や組織体制に欠陥があることがクローズアップされ、事態を重視した科学技術庁は4月15日、第三者を中心とする「動燃改革検討委員会」を発足させた。改革検討委員会は7月30日、「動燃事業団を改組し、新法人として発足させる」とした報告書をまとめ、8月1日座長から科学技術庁長官に最終報告書を提出した。科学技術庁は12月23日、新法人の名称を「核燃料サイクル開発機構(現日本原子力研究開発機構)」と発表した。
<更新年月>
2001年03月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>


1.内外の原子力関係の出来事
月日 国内 国外
1997年
(平成9年)
1/6   英原子力認可当局、20年稼働した原子力発電所2基に10年の運転延長を承認
1/13   台湾電力、廃棄物最終処分で北朝鮮と契約
1/14 総合エネルギー調査会原子力部会、原子炉廃止措置対策小委が報告書を策定 米DOE、プルトニウム処分戦略を発表
1/27 青森県と六ケ所村、日本原燃に安全協定協議開始の申し入れ▼輪銀、日立の中国奏山原子力発電所第3期工事向け協調融資契約に調印 英NIREX、低・中レベル廃棄物地下研究施設の工事を発注
1/31 原子力委、当面の核燃料サイクルの具体的施策を決定▼原子力委、高速増殖炉懇談会の設置を決定 米46州政府機関、廃棄物基金への払込停止を求めてDOEを告訴
2/4 原子力委決定の当面の核燃料サイクルの具体的な施策が異例の閣議了解 スウェーデンの3政党、バーセベック原子力発電所の閉鎖で合意
2/14 近岡科技庁長官と佐藤通産大臣、福井、福島、新潟3県知事と会談。当面の核燃料サイクル施策について理解を求める。  
2/20 近岡科技庁長官と佐藤通産大臣、当面の核燃料サイクル推進施策について全原協に協力要請  
2/21 電事連、電力11社のプルサーマル全体計画を発表  
2/25 ITER推進国民会議が発足  
2/27 橋本首相、当面の核燃料サイクル推進施策について3県知事に対し協力要請  
2/28   仏国務院、スーパーフェニックスの運転認可取消す
3/6 東京電力、新潟、福島両県に対しプルサーマル計画を具体的に説明  
3/11 動燃事業団・東海事業所アスファルト固化施設で火災爆発事故▼九州電力、宮崎県串間への原子力発電所建設計画の白紙化を発表  
3/13 中国電力、島根3号機増設を地元に申し入れ  
3/21 原子力委高レベル放射性廃棄物処分懇談会、中間報告策定  
3/24 動燃事業団、アスファルト固化施設事故をレベル3と暫定報告  
3/25   EU・JET共同事業体、JETで本格的DT実験の準備を完了
3/27 第134回電調審で、浜岡5号機、志賀2号機が上程  
3/28 関西電力と原電、福井県に対しプルサーマル計画と使用済み燃料一次貯蔵について説明  
4/1 平成8年度設備利用率史上最高の80.8%を記録  
4/10   米GPU社、オイスターリーク原子力発電所の売却・早期閉鎖を決定
4/15 科技庁、動燃改革検討委員会を設置 米上院、廃棄物法案を可決
4/27 科技庁、日本原燃六ケ所再処理工場の主要工程に許可  
4/28 原子力発電所立地市町村議会議長会が正式発足  
5/9 原研、東海研究所内の研究炉JRR-2の解体届を科技庁へ提出  
5/12   米原子力規制委(NRC)、GE社のABWRの設計を認証
6/4   IAEA、次期事務局長にモハメド・M・エルバラディ氏を選出
6/6 政府、電発の民営化を決定  
6/10   スウェーデン議会、バーセベック原子力発電所を廃止する法案を可決
6/17 動燃改革委、新法人設立方針を決定  
6/19   仏首相、所信表明でスーパーフェニックスの放棄を発表
6/24 科技庁・通産省共催のプルサーマル説明会、柏崎で開催、初の住民への説明会  
7/2 東京電力・柏崎刈羽7号機(ABWR、135万6,000kW)が営業運転を開始、同発電所は世界最大の原子力発電所に  
7/7 動燃改革委、新法人の事業範囲を明確化  
7/8 中部電力、芦浜原子力発電所計画についで平成11年までの活動休止を決定▼原発立地議長会、発の原発立地議会サミットを開催(~10日)  
7/17   米エネルギー省(DOE)、兵器級余剰プルトニウム処分でMOX利用計画案を公表
7/23   英BNFLの米法人、MOX燃料製造の企業連合設立
7/25 九州電力:玄海4号機(PWD,118万kW)が営業運転を開始  
7/28   米大統領、濃縮公社の民営化を承認
8/1 動燃改革委、近岡科技庁長官に報告書を提出、科技庁、新法人作業部会を設置  
8/13   加のオンタリオ・ハイドロ社、7基の一次閉鎖を含む設備・管理計画を決定
8/19   KEDO、北朝鮮で軽水炉事業の起工式を行う
8/22 新法人作業部会が審議開始、裁量権強化などで議論 英原子力規制当局、THORPの運転を正式認可
9/5   IAEA、放射性廃棄物の安全管理条約を採択
9/9   仏のフラマトム社、米WH社のエネルギー部門買収を検討
9/11 第2次橋本改造内閣が発足、科技庁長官に谷垣貞一氏、通産大臣に堀内光雄氏 米ペンシルバニア電力会社(PECO)社と英BE社、原子力発電で合弁会社を設立
9/12 原子力安全委、FBR原型炉「もんじゅ」事故に関する初の説明会を地元で開催 IAEA、事故賠償責任学額の引き上げでウィーン条約改定を採択
9/14 茨城県知事選、東海村長選が実施、知事に橋本昌氏が、村長に村上達也氏が当選  
9/19 原子力委の高レベル廃棄物処分地域意見交換会が大阪で初会合  
9/29 旧原子力船「むつ」を改造した大型海洋観測研究船「みらい」海洋科学技術センターへ  
10/3   米GPU社、TMI原子力発電所の売却を検討
10/15   独シーメンス社、英BNFLの燃料部門が合併会社設立に向け交渉開始
10/31   米議会、放射性廃棄物改正法案を可決
▼フィンランド議会、原子力オプションを残したエネルギー戦略を承認
11/7 原子力委の高連増殖炉懇談会、報告書案について一般からの意見を聞く会を開催  
11/11 通産省・科技庁、福井市でプルサーマル公開討論会を開催  
11/14   米WH社、原子力を除く発電部門を独シーメンス社に売却
11/18 原子力委、地球温暖化防止京都会議(COP3)に向け、温暖化と原子力をテーマにシンポジウムを開催  
11/27 東北電力・東通原子力発電所1号機計画で第2次公開ヒアリングが開催  
11/28 原子力委の高速増殖炉懇談会、最終報告書を策定、開発の継続を協調  
12/1 気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)が京都で開催(~11日)、温暖化ガス削減数値目標で合意  
12/2   米FDA、O-157対策で滅菌目的の食肉への放射線照射を認可
12/15 動燃事業団アスファルト固化施設事故調査委、火災原因は熱暴走反応、爆発はエクストルーダ内とする報告書を取りまとめ  
12/22 福井県知事、5年間のATR原型炉「ふげん」運転を了承  
12/23 科技庁、動燃事業団新法人の名称を「核燃料サイクル開発機構」と発表  



2.社会一般の出来事
月日 国内 国外
1997年
(平成9年)
2/23   英ロスリンス研究所、クローン羊を作り出すことに世界で初めて成功
4/1 消費税3%から5%に  
4/22 ペルー人質事件が武力で解決、犯人全員射殺  
5/27 神戸市で小学生の切断頭部を発見、6/28 容疑者の中学生逮捕  
6/17 脳死を死と認める臓器移植法成立、10/16 施行  
7/1   香港返還。155年の英統治終り、中国に「1国2制度」始動
10/2   アムステルダム条約(改正欧州連合条約)調印
11/24 山一證券が経営破綻、自主廃業決定  
12/4   対人地雷全面禁止条約調印(米中露は不参加)

<参考文献>
(1) 日本原子力産業会議(編集発行):原子力のあゆみ、原子力年鑑 2000/2001年版 別冊(2000年10月)
(2) 日本原子力産業会議(編集発行): 原子力年鑑 1998/1999年版(1998年12月)
(3) 読売新聞社(編集発行):読売年鑑 1998年版
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