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<概要>
 1996年、チェルノブイリ事故の10周年のすぐ後に、エネルギー資源とその環境に与える影響を徹底的にかつ客観的に一般市民に伝えることを目的として、非営利団体である「原子力を支持する環境主義者協会」(EFN)が設立された。それは根拠ある科学的事実をベースとしており、イデオロギー的な考えに基づく団体ではない。
<更新年月>
2005年12月   

<本文>
 原子力を支持する環境主義者協会は、1996年に主宰者であるブルーノ・コンビ氏がテレビ討論に参加し、グリンピースインターナショナルの事務総長との議論から始まった。原子力を支持する環境主義者協会:Environmentalists For Nuclear Energy(EFN)は非営利組織で、「エネルギーと環境に関して、徹底した偽りのない情報を一般公衆に提供し、よりクリーンな世界のために原子力の恩恵を広げるべく、クリーンな原子力を人々が団結して支持すること」を目的とし、フランスに本部を置く団体である。協会のフランス名は、AEPN(Association des Ecologistes Pour le Nucleaire)である。
1.協会の組織内容
 EFNは、完全に独立の、私的な非営利の環境組織である。どのような政治、宗教、財務そして産業グループとも無関係である。彼らは、環境を守り、原子力エネルギーを促進したいと思う人々の集まりである。また、よりクリーンな世界に貢献したい人なら誰でも、EFN協会の共鳴活動家あるいは寄付会員になることができる。協会の運営は会費と寄付金で賄っていて、スタッフはボランティアで活動している。また、協会は世界中いろいろな所に通信員を持ち、世界各国に会員および支援者を擁する国際ネットワークである。1996年に設立されて以来、2005年11月29日現在で、会員は全五大陸56カ国以上の8,000名以上に及んでいる。2005年から2006年にかけてカナダ市民グループが、エネルギーと環境について協会の方針に共鳴し、EFN CANADA を立ち上げている。(図1参照)
2.協会の基本方針
 EFNの第一の目的は、一般の人々に情報を提供すること、エネルギーに関する全体的かつ相対的な説明をすることである。原子力エネルギーが反環境的とする意見は、大きな誤解であり、世紀の過ちと考えている。一般の人々にできるだけ総括的な情報を提供しようと、あらゆる手段を講じて活動している。その一つにインターネットがある。すでに14カ国語で用意されていて、日本語のページもあり、日本以外における原子力やエネルギーの関連情報も日本語で内容紹介されている。協会は、1996年の設立翌年から毎年、EFN総会として会長による年次報告、地域通信員報告、EFN会員統計、会計報告などを行うとともに、ホームページ(http://www.ecolo.org)で報告内容を公開している。
3.協会の活動内容
 1994年に出版したブルーノ・コンビ氏の書物の中で、「エコロジストの眼から見た自然と、科学技術の恩恵とを結びつけることはできないのだろうか。技術の進歩を賢く利用しようとすれば、環境に配慮するのは当然である。このように考えると科学からアプローチするにせよ、環境からアプローチするにせよ、結局は同じゴールにたどりつく。そのゴールとは、私たちが存在する宇宙を、よりよく理解すること、人類の幸福を追求すること、そして地球の環境と生活条件をよりよくすることへの貢献である」と訴えている。
 2004年8月の美浜原子力発電所事故に関して、事故の2日後にEFNニュースレターとして、日本語による原因の現場写真つき報告がサイトで流されている。発電所二次系の圧力給水管の破裂であったが、この事故は、原子炉に関わるものではなく「原子力エネルギーによって加熱されるか、あるいは化石燃料を燃やすどんな発電所でも起きる」一般産業の問題である。また、この事故は、他の工場あるいはガス・石炭・石油の発電所でも起こりうることで、原子炉特有の事故ではないことを強調しなくてはならない。さらに、これは1986年のチェルノブイリ事故以後、原子力発電所で起こった最悪の事故である、と報告している。
<図/表>
図1 原子力を支持する環境主義者協会会員数の推移
図1  原子力を支持する環境主義者協会会員数の推移

<参考文献>
(1) 原子力を支持する環境主義者協会:ホームページ、原子力を支持する環境主義者の紹介、http://www.ecolo.org/intro/introjp.htm
(2) ブルーノコンビ:「エコロジスト ブルーノ・コンビ 原子力を語る」、ERC出版、2002年4月
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