<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 日本の二次エネルギー
<小項目> 都市ガス・熱
<タイトル>
都市ガス需給の現状と推移 (01-04-03-01)

<概要>
 日本における都市ガス事業の始まりは、横浜におけるガスによる街灯の点灯である。
 2001年3月現在の事業者数は237事業者であり、私営事業者は169であった。2005年10月現在、ガス事業者数は212となっている。都市ガスの需要家数は着実に伸びており、全国供給区域内の普及率は、2000年度末で82.6%、2003年度末で82.3%、1990年以降82%台で推移している。なお、都市ガス生産量の約8割の原料は液化天然ガス(LNG)で賄われている。
 今後の都市ガス事業の拡大を視野において、ガス事業の構造改革が進められている。
<更新年月>
2006年07月   

<本文>
 日本におけるガス事業は、1872年(明治5年)に横浜で仏人技師の指導の下に水平レトルト式の石炭ガス製造設備を建設し、10数基の街灯に点灯したのが始まりである。
 その後、都市ガスは、そのクリーン性、利便性、供給安定性などの優れた特性から家庭用エネルギーとして着実な需要の増加を示し、国民生活の向上に大きく貢献してきたところである。近年、家庭用需要が需要構成の5割をきる一方、近年の環境制約への対応の要請、技術革新の進展等を背景に、大口需要を中心とする産業用・業務用の増大が目覚しい。都市ガスの需要構成の変化を見ると、今日においては、家庭用のみならず工業用・商業用のエネルギー源としての役割が増大してきており、産業活動の発展に大きく貢献してきている。都市ガスの需要構成の変化を見ると、1990年度から2000年度までの11年間で、家庭用需要の伸びが約1.2倍であるのに対し、産業用・業務用需要は約2.0倍の伸びを示している。
 都市ガス需給の現状と推移は以下のとおりである。
1.都市ガス事業者(一般ガス事業者)
 2005年10月現在の一般ガス事業者数は212事業者である。需要家数は2,696万件(2003年末)、供給区域の面積は国土の約5%、市街地面積の21%を占める。2005年度のガス販売量は約325億m3であり、この10年で1.5倍を超えた。大手4社(東京ガス(株)、大阪ガス(株)、東邦ガス(株)、西部ガス(株))でガス販売量の77%を占める。表1に2000年度末における一般ガス事業者の規模と事業者数を示す。
2.都市ガスの需要
2.1 都市ガス需要家数
 都市ガスの需要家の大部分は家庭用であり、最近の生活水準の向上と相まって毎年着実に需要家数(メーター取付数)は伸びている。1970年10月には、1,000万個を突破し、2000年度末では2,585.8万個に達し、全国供給区域内の普及率は、2000年度末で82.6%、2003年度末で82.3%であり、1990年以降82%台で推移している(表2表3)。
2.2 都市ガス販売量
 2000年度におけるガス販売量は、250億1,700万m**3(1万kcal/m3換算)と1995年度に比し約60億m3の増加で、5年間の年平均伸び率3.7%である。2005年度にはガス販売量は2000年度に比較して約75億m3の増加で、5年間の年平均伸び率5%以上の傾向を保持している。2005年度の用途別販売量の年平均伸び率を2000年度と比較すると、家庭用は0.93%増である。工業用は伸び率が大幅に増加した。商業用は4.1%増、工業用は11.6%増、その他は6.7%増である。構成比は、家庭用30.6%に対し、工業用が45.5%となっている。2000年度から2005年度にかけて家庭用と工業用の販売量シェアが逆転した。これはこの20年来、家庭用が3%程度の年平均伸び率で推移してきたのに対し、工業用は10%以上の伸び率を維持してきた結果である。2000年度から2005年度にかけての家庭用ガス販売量の年平均伸び率は1%以下であった(表4)。
3.ガスの生産・購入
 供給するガスは、ガス事業者自ら生産するガスと他から購入するガスによって賄われている。ガスの種類としては、石炭系ガス、石油系ガス、液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)、天然ガス、その他に分類される。
 2000年度における生産・購入量は都市ガス需要の増大に伴って増加し、表5に示すとおり、その合計は253億4,720万m3であり、1991年度の172億2,030万m3に比較して年平均約4.4%の増加である。また、伸び率の推移をみると、2000年度は前年比で9億4,120万m3増、前年比3.9%と高い値となった(表5)。2004年度の伸び率からも明らかなように全体の伸び率は2000年度以降もプラスである(2001年度:1.6%、2002年度:8.5%、2003年度:3.8%、2004年度:6.2%)。ガス源別には以下のとおりである。
(a)石炭系ガス
 石炭系ガスは、需要のピーク、オフピークの生産調整が難しく、また製造設備も石油系と比較して多額の資金を要する等の問題を持っているため、ガスの生産力の主力はLNGおよび石油系に移行している。現在の生産量は、1991年度の3.84億m3から2000年度には2.287億m3と年平均5.6%の減少となっている。全生産量に対する比率は0.9%と低下している。この傾向は2000年度以降も続き、2004年度の全生産量に対する比率は0.2%まで低下している。
(b)石油系ガス
 最も早くから生産された石油系ガスの原・重油ガスは、その後、揮発油(ナフサ)の生産が増加するに伴い横ばい状態になり、特に公害処理施設費の増大、副生するタール製品の利益率の低下等により1977年度以降生産されていない。
 ナフサガスは、都市ガスの中では製造原価が比較的安価であること、接触分解によって容易に比較的良質の供給ガスが得られることなどから、大手・中小事業者を問わずナフサを原料源とする転換が1955年代後半から行われた。しかしながら、その後のナフサ価格の高騰等によってほとんど生産されていない。
 液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)は、ブタンエアー方式により小規模な設備投資でガスを供給することができるので、中小ガス事業者においてはこの方式によるものが多く、またピーク時の調整用および低カロリーガスの増熱用としての利用度も高まりつつあったが、1969年度から一部大手事業者のLNGの導入により、生産量は減少した。
 石油系ガス全体では、液化石油ガスが主流であるが生産量は1991年度以降平均年率1.8%で減少しつつあり、全生産量に対する比率は2000年度11.9%、2004年度9.8%と低下している。
(c)液化天然ガス(LNG)
 1969年に東京ガス(株)がアラスカから日本で初めてLNGを導入し、ガス原料として使用するようになり、その後ブルネイ、インドネシア、マレーシア、オーストラリア等からも導入するようになった。2000年度で5,410万トンのLNGが都市ガスの原料として消費され、生産量ベースで81.5%のガスがLNGで賄われている。LNG需要の内訳は、発電用燃料69.4%、都市ガス用29.3%である。
(d)天然ガス
 天然ガスは、石炭に次いで古いガス源であるが、ガス事業者自身で生産しているものは少ない。
4.今後の見通し
 今後とも、環境対策の必要性の高まり、エネルギー高効率利用技術等の開発に伴う新規用途の出現、各種の規制緩和等を背景に、他燃料からの転換、ガスコージェネレーション、ガス冷房の一層の普及等により、産業用・業務用需要がより一層増加するとともに、家庭用需要も供給区域の拡張により都市ガス世帯が増加すること、暖房用等における都市ガスの占めるシェアが増大すること、天然ガス自動車の導入が進むこと、高効率の小型ガス冷房の開発により、家庭にも長期的にはガス冷房が普及していくことが見込まれること等から、都市ガス需要は全体的に着実に増大するものと推測される。
5. ガス事業構造改革と今後の対策
 ガス事業の構造改革については、経済構造改革の一環として、国際的に遜色のない産業基盤サービスの実現を目指すべく、1998年10月より総合エネルギー調査会(現総合資源エネルギー調査会)都市熱エネルギー部会において検討が開始された。1999年5月には、同部会中間報告書を受け、第145回通常国会において、ガス事業法改正法案(電気事業法改正法案と一括)が成立した。本制度改正は、(1)参入規制等の見直しと(2)料金制度の見直しを主な内容としており、同年10月に都市熱エネルギー部会において取りまとめられた詳細な制度設計に係る報告書を受け、同年11月19日より新制度が施行された。
 また、自由化部門における適正な取引ルールのあり方等に関しては、公正・有効な競争を確保し、不適正な取引を予防するといった観点から、同部会にワーキンググループを設置し、2000年3月「適正なガス取引の指針」並びに「ガスの取引に関する紛争処理ガイドライン」を制定した。
 さらに同年2月より、同部会の下に都市ガス事業料金制度分科会が設置され、同年11月、
(1)接続供給料金に係る会計手法、
(2)ガス料金算定方法の見直し、
(3)情報公開ガイドラインの考え方、
(4)一般消費者等への情報提供等の一層の促進を論点
について報告書が取りまとめられた。
 なお、1999年11月より施行された新制度については、制度施行後概ね3年後を目途に、
(1)新制度による成果等に関するフォローアップを実施するとともに、
(2)ガス体エネルギー産業全体の制度改革・構造改革に向けたアプローチを行うこと
となっており、2001年1月からは、エネルギー産業における天然ガスヘの期待の増大を踏まえ、ガス産業の競争環境の整備、ガス価格の一層の低下などの観点から、今後のガス市場整備に関する基本的な問題について研究を行うため、資源エネルギー庁に学識経験者、関係業界、消費者代表等から構成する「ガス市場整備基本問題研究会」を設置し、2002年4月に、今後の基本的な政策の方向性をとりまとめた。
 今後は、この検討結果を踏まえ、総合資源エネルギー調査会において、ガス市場の在り方について検討していく予定で、2002年9月27日に都市熱エネルギー部会を発足させた。同部会では、上記の方針に基づき、「今後の望ましいガス事業制度の骨格について」(2003年2月20日)、「今後の望ましいガス事業制度の詳細設計について」(2004年1月20日)等の報告書をとりまとめている。
<図/表>
表1 一般ガス事業者の規模と事業者数
表2 一般ガス事業者の供給区域内普及率の推移
表3 用途別需要家数(メーター取付数)
表4 用途別ガス販売量の推移
表5 原料別都市ガス生産・購入量

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<参考文献>
(1)資源エネルギー年鑑編集委員会(編):2005−2006資源エネルギー年鑑、通産資料出版(2005年4月)、p.625−665
(2)(財)日本エネルギー経済研究所計量分析ユニット(編):EDMC/エネルギー・経済統計要覧2006年版、(財)省エネルギーセンター(2006年2月)
(3)資源エネルギー庁・ガス市場整備基本問題研究会:
(4)(社)日本ガス協会:http://www.gas.or.jp/
(5)資源エネルギー庁:http://www.enecho.meti.go.jp/
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