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<概要>
 日本国民一人当たりのエネルギー消費量は、長期的にみれば穏やかな延びを示している。最も多く消費されているエネルギーは、石油製品や電力である。化石燃料消費は年毎に減少しているが、逆に、都市ガス・電力は人口の増加を上回って増加している。1980年代に一人当たりエネルギー供給量が大きく増加しているのはガスと原子力であるが、2000年以降、各々14%弱、12%前後で推移した。原子力については2012年以降、実質0%となっている。
<更新年月>
2016年09月   

<本文>
1. 一人当たりエネルギー源別一次エネルギー供給量
 表1表2に日本の一人当たりエネルギー源別一次エネルギー供給量を示す。石油は、近年その一人当たり供給量は減少しているものの、以前よりその割合は一番高く、2002年では全体の5割強を石油に頼っている。しかし、1970年代に70%強の供給量に達した後、石油危機を経て1985年〜90年には60%弱まで減少し、その後50%をわずかに超える程度にまで漸減、2006年度以降は50%を下回っている。1980年代に一人当たりエネルギー供給量が大きく増加したのはガスと原子力であるが、2000年以降、各々14%弱、12%前後で推移した。原子力については2012年以降、実質0%となっている。図1に1990年以降の供給源の推移を示す。図2に一人当たり一次エネルギー国内供給量の年次変化を示す。表1において1995年度以降の総供給量の値は図2の2005年度の値と等しく、2007年度以降2014年度まで全体としてエネルギー供給量は減少傾向にある。
2. 一人当たりエネルギー源別最終エネルギー消費量
 表3表4に日本の一人当たりエネルギー源別最終エネルギー消費量を示す。一人当たりエネルギー総消費量は、近年はほぼ横ばいの状態であるが、歴史的にみれば1965年の消費量のおよそ3倍、1970年のおよそ50%増、1980年のおよそ30%増、1990年のおよそ10%増となっている。長期的に見て、1990年以降は横ばいといえる。この傾向は2002年以降も続き、図3に示すように2005年以降はむしろ漸減傾向にある。石油製品(ガソリン、灯油、軽油、重油等)は、横ばいの状態にあり、一人当たりエネルギー消費量のおよそ60%を占めている。一人当たりエネルギー消費量が大きく増加しているのは、都市ガスと電力である。特に、電力は石油製品に次ぐ消費量となっている。増加率で見ると、1990年の値と比較して、都市ガスは約60%増、電力は約25%増である。同様の比較を石油について行うと、増加は高々10%にすぎない。電力と都市ガスの消費量は、人口の増加率を上回って増加している。2014年度では2005年度と比較して、都市ガスと再生エネルギーは増加しているが、他のエネルギー源は減少傾向にある。
3. 一人当たり部門別最終エネルギー消費量
 表5表6に日本人の一人当たり部門別最終エネルギー消費量を示す。1980年代後半(1985−1990)の産業部門、民生部門、運輸部門の伸びはそれぞれ16.1%、19.9%、26.3%であるのに対し、1990年代後半(1995−2000)は、それぞれ4.7%、5.5%、4.8%となっており、総体的に、近年の景気の後退傾向を反映してどの部門の伸びも、80年代後半に比して90年代後半は小さくなっている。しかし、90年代前半も含めた長期的傾向として見ると、産業部門の一人当たりエネルギー消費量の伸びは減少し、民生・運輸部門の消費量の伸びは増加する傾向にある。しかし、1999年以降は横ばいの傾向にある。
(前回更新2005年2月)
<図/表>
表1 エネルギー源別一次エネルギー総供給量(1965年度〜2002年度)
表1  エネルギー源別一次エネルギー総供給量(1965年度〜2002年度)
表2 エネルギー源別一次エネルギー総供給の推移(2005年度〜2014年度)
表2  エネルギー源別一次エネルギー総供給の推移(2005年度〜2014年度)
表3 エネルギー源別最終エネルギー消費量(1965年度〜2002年度)
表3  エネルギー源別最終エネルギー消費量(1965年度〜2002年度)
表4 エネルギー源別最終エネルギー消費の推移(2005年度〜2014年度)
表4  エネルギー源別最終エネルギー消費の推移(2005年度〜2014年度)
表5 部門別最終エネルギー消費量(1965年度〜2002年度)
表5  部門別最終エネルギー消費量(1965年度〜2002年度)
表6 部門別最終エネルギー消費の推移(2005年度〜2014年度)
表6  部門別最終エネルギー消費の推移(2005年度〜2014年度)
図1 一次エネルギー国内供給の推移
図1  一次エネルギー国内供給の推移
図2 一人当たり一次エネルギー国内供給量
図2  一人当たり一次エネルギー国内供給量
図3 最終エネルギー消費の推移
図3  最終エネルギー消費の推移

<参考文献>
(1)(財)日本エネルギー経済研究所エネルギー計量分析センター(編):EDMC/
エネルギー・経済統計要覧 2004年版、(財)省エネルギーセンター(2004年2月)
(2)資源エネルギー庁(編):エネルギー2004、(株)エネルギーフォーラム
(2004年1月21日)
(3)資源エネルギー庁:平成26年度(2014年度)エネルギー需給実績(速報)、
http://www.meti.go.jp/press/2015/11/20151110002/20151110002.pdf
(4)総合資源エネルギー調査会:資料2、エネルギー需要見通しに関する基礎
資料(平成27年2月)http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shoene_shinene/sho_ene/pdf/010_02_00.pdf
(5)資源エネルギー庁:平成27年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー
白書2016)HTML版、http://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2016html
(6)総務省統計局:日本の統計2016 第2章 人口・世帯
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